久々に「ブーケドフランス」を訪れた。
来る道すがら考えていたのは、「肉が食べたい」である。
であるから、前菜に「パテドカンパーニュ」を頼み、メインは「豚ロースのグリエ」を選んだ。
口いっぱいに練り肉のうまみを感じながら、赤ワインを飲む。
精妙な火の通しで、優しい脂の甘みと肉の凛々しさが引き出された豚肉料理で、噛む喜びに、しみじみと酔う。
そしてデセールのヌガーグラッセで、つかの間の夢見心地となる。
できたての料理で、幸せを体に満たして行く。
これがレストランだ。
レストランに行くということだ。
しかしなによりも、マダムの軽妙洒脱な会話が楽しく、心が軽くなり、同席者との会話も弾んで、空気に明るい色をつけていく。
それこそが、レストランに行くということなのである。
レストランに行かないと経験できない、貴重な時間なのである。