茹でる。

食べ歩き ,

「茹で加減はいかがですか」。

「コートドール」支配人の問いに、笑顔で返した。

茹でる。

この単純な仕事を考えさせられた。

茹でただけの見事な太さのアスパラガスは、運ばれた瞬間に、甘い香りをまき散らす。

繊維などないかのように歯が入りながら、アスパラガスたる食感は残した、精妙な茹で加減。

穂先、穂先の下、根元で異なる歯触りと甘味。

命をみなぎらせて、大地の味わいを爆発させるアスパラガスに、深々と感謝した。