梨を食べ始めると、止まらなくなる。

長十郎の、硬く、シャキシャキとした果肉からほとばしる、甘み。

二十世紀の、柔らかい果肉から流れ出る、品のある甘み。

幸水の、緻密な肉質からこぼれる、豊かな甘み。

豊水の、果汁に富んだ果肉から滲む、ほのかな酸味を含んだ甘味。

ああ、どれもいい。

生で食べるが一番と思っていたが、五十嵐美幸さんは酢豚にした。

加熱された梨は、瑞々しさを残しながら色艶を加え、さらに梨が好きになって、困ったな。