東京とんかつ会議127 麻布十番「都」「上ロースかつ定食」1850円
<肉2、衣3、油2、キャベツ2、ソース3、御飯2、新香3、味噌汁2、特記1【かしらかつ】 計20点>
八月に出来たばかりの、新進気鋭のとんかつ屋である。店内は、新しい店ならではの清らかさがあって、清々しい。
「本日の豚」という木札が壁から下がっており、当日訪れたときには、「神奈川県産 生産者和田養豚場」と記されていた。おそらく「かながわ夢ポーク」というブランド豚だろう。上ロースかつ定食のとんかつは、厚さ3センチ、重さが250gある、堂々たる姿で、きめ細かい衣がピッタリとつき、断面の中心は、うっすらとピンク色な仕上がりで、しっとりと肉汁で濡れ、光っている。
きめ細かい肉質だが、ややうまみが足りない。突っ込んだ揚げ方ながら衣がはがれていない丁寧な仕事ぶりだが、その分最後のふた切れになると、余熱で火が通り過ぎてしまう嫌いがある。揚油は菜種油なので香りは淡い。
おしんこは、糠漬けの大根に胡瓜に人参と、必要にして充分、豚汁は大根と人参と豚肉で、ゴボウの香りが欲しくなった。キャベツは見事に細く切り揃えられているが、昼の遅い時期に出かけたせいか、やや乾燥している。ソースは華やかな香りががしてくどくない、美味しいソースである。
塩はゲランドとウニコ湖の塩。前者は肉を活かし、後者は脂の甘みを活かす。部位によってかけ分けてもおもしろいだろう。また「とんかつにかけてどうぞ」と、メイプルシロップが置かれている。試しにかけてみたが、ご飯のおかずとしてはいただけない。
サイドメニューの「かしらかつ」600円は頬肉のとんかつで、よく叩いてスジを絶ったコラーゲンの旨味と噛む喜びに満ちた、とんかつの新たな可能性を感じさせるカツである。
山本氏
【肉3衣2油2キャベツ2ソース3御飯2味噌汁2お新香2特記なし合計18点】
河田氏
肉2、衣3、油3、キャベツ2、ソース3、御飯2、新香2、味噌汁2、特記なし 19点