<麩という不思議>

食べ歩き ,

小麦粉に食塩水を加え。よく練って生地作り 、粘りが出たところで生地を布製の袋の入れて水中でもむ。
でんぷんが流失した後に残りしグルテンを蒸して生麩の完成だ。

小麦粉文化の中国より伝来し、不思議な食べ物。
主役にも主食にもならず、日本各地に名物麩があるにかかわらず 食べたことのない人も多い。

その辺のところを、自分の立場を、「麩」は、気にすることもなく、 飄々と生きている。

ところが時として、主役を凌駕する。
新橋「菊姫」(菊姫が経営してるのだよ)にて、鴨鍋を楽しんでいたら

見慣れぬものが

きけば金沢特有の「すだれ麩」という、由緒正しき麩であるという。

加賀藩主前田家の料理人、舟木伝内包早が享保10年創製したもので、
その製法は秘伝とされていたが、百年以上たって「麩口伝書」に製法が紹介され、
現代に至った。

鴨も十分においしかったが、 鴨の滋味が滲み出たつゆを吸った「すだれ麩」のうまいこと。

鍋に入れると、どんどん膨らんで、 噛めば、しこっと歯を押し返し、 中から熱々のつゆがあふれ出す。
鴨を凌駕する、小麦の力。

 

おそらく肉が食えない時代の、代替品でもあったのだろう。

麩のことを 中国では、「麺筋」といったそうだ。
まさにグルテンの筋力、堪能いたしました。