<踊るナマコ>

食べ歩き ,

<踊るナマコ>
最も高価だという小さいナマコ切って、口に運ぶ。
ムニュ。歯が包まれると、優しい滋味が芯まで染みたナマコが崩れる。
その瞬間海の香りが吹いたような気がした。
味の淡いナマコの奥から、海の滋養が打ち寄せてくる。
お亡くなりになってから、ずいぶん経つというのに、海の有り難みを体に秘めて、静々と染み渡る。
ナマコが喜んで、歯の間と舌の上で踊っている。
「金牛賓館」のナマコ料理は、そんな思いを沸き上がらせる。

注)最も高価とは?
翌日市場で同じものを見たところ、一つで原価が1万5千もした。