1月大夢

日記 ,

1月大夢は、お正月の料理だった。
題は「言霊」である。
言葉には霊力がある。
「おめでとう」と言ったり返したりすることで相手に幸福がもたらされる。
美しい言葉、おめでたい言葉をたくさん発して良いことが本当に起きるように、一年間が健やかに過ごせますようにと願いを込めて料理を考えられたという。

玄関は、除夜の鐘が飾られていた。
音を鳴らすことは、空気を揺らして清める意味があり、今年の第一歩を清めるようにと願いを込めて
床の間は、年の初めを寿ぐ、蓬莱飾りである。
おめでたいもの。縁起のものが飾られていて、心が華やぐ。
床の間には、いつもは畳が敷いてあるが、今回はびっしりと籾を敷き詰められていた。
この一粒一粒が万倍に増える。
これだけの種があったら沢山の人の食を支えることができる。
一粒万倍、豊作祈願を込めて
「紅白のシデ」赤い色は魔除け 四方に広がるので繁栄を祈る
裏白は清らかな心をあらわし、左右対称なのは、夫婦仲睦まじく、白髪になるまで仲良くいられるようにと。
「橙」は代々家督絶えずに反映するように
「白いボケの花」は、別名を放春花、春を先駆けて飾られる
「南天」は、難を転じるように。
「松ぼっくり松」。松は1000年も満年も色が変わらないということから不老長寿の証である。
「ふきのとう」。雪の中でも春を待つ生命力にあやかれるように。
赤い果実をつけたものが「藪柑子ヤブコウジ」 花言葉が明日の幸福という。

まずはお屠蘇から。
1. 碗:「春信」春の花便り 京人参、堀川ごぼう、生姜、寒しじみ 梅の花 FB参照
2. 向附:「縁起魚」 氷見ぶりしゃぶである。腹身と背身があり、まず腹側を刺身でいただいてから、柚子の輪切りを落とした熱々の出汁にブリを潜らせる。温さがブリの香りをふくらます。そして1時間半蒸したという長寿と発展のシンボルの蒸し鮑はじっとりと海の滋養を舌に落とす。野菜はさっと湯がいた水菜と大根、冬に嬉しい熱向である
3.  揚物:「初夢」宝船 柚子皮の蜜煮にお宝を詰めた、福俵の天ぷらと、目が出ると縁起の良い、クワイの唐揚げ。クワイは宝珠の形にくりぬいてから揚げてある。さらに柚子の皮の中には、絹ごし豆腐を裏ごしして白和えにした甘酢炊きレンコンとばちこが詰められている。柚子の香りの中から淡く優しい豆腐の甘みが顔を出して心和む。この白和えが外に流れ出さないように揚げるのは、至難の技と思われる。聞けば何回も試行錯誤の上習得したという・
4. 煮物:「寒」酒蒸し柳鰈 根芋、花菜。蒸した柳鰈は初めてである。身はふわふわとして歯を優しく抱き、旨味がにじみ出る。また卵が素晴らしい。生に近いような、優しい甘みがあって、酒を呼ぶ。
5. 焼物:「福」フグ焼き白子 焼き胡麻豆腐。白子の香りと濃密なコクが口腔にしなだれ、陶然となる。焼いた胡麻豆腐との香りの交換がたまらない。
6. 飯物:「三日とろろ」1月3日にはとろろご飯を食べて疲れた胃と腸を整える。一年間無病息災長生きを祈って、炊きたてのご飯ととろろを白味噌仕立ての雑煮風。

まさに雪間の景色。雪景色の中から春が芽生えている。とろろと白味噌の甘みが共鳴しあう美しさ、百合根の存在。時折ふきのとうを食べて背筋を正し、再び芋と白味噌の甘美に戻るひととき・
7. 水菓子  みかん3種類 初日の出の景色。ブラッドオレンジのゼリー、ネーブルとデコポンのジュース。上には飴で細く細く作った、太陽の光線があしらわれる。
8. 菓子:「歳魂」年神様からの御霊を分けていただくお年玉にちなんで、年神様の御霊と言われる丸餅に見立てた焼き菓子に邪気を払う小豆の餡。
9. 大福茶