鱧は

食べ歩き ,

鱧は、旺盛な食欲と鋭い歯で、海の豊穣を余すことなく身体に蓄える。
豚は、飽くなき食欲で肥えに肥え、大地の恵みをでっぷりと抱え込む。
海と陸の生物は出会い、互いの滋養を放出し、融合し、例えようのない味の深みを生み出す。
塩漬け鱧と豚直腸の煮込みである。
塩漬け鱧は、塩と山椒で塩漬けされたもので、使う時は洗って蒸す(下記コメント欄の写真を見てね)
淡白さの中に秘めた鱧の複雑な味わいを、豚脂の甘みが抱く。
互いのうま味が互いに染み込み、互いのうま味が重なり合い溶け合って、混沌とした味の高みを作り出す。
それは、たくましくも暖かい慈愛のようなものがあって、いつまでも食べ続けていたい気分にさせるのであった。
臥龍居、上海料理の会にて。