駒沢ラーメンに続き、「月島ラーメン」。
朝つぶした新鮮な鶏を。丸ごとじっくり鍋にした「タッハンマリ」。
雑味なく、余分な脂もなく、澄んだ鶏の滋味だけがとろりと舌を包む。
骨まで食べられる鶏は、しなやかで、淡く品のある旨味を滲ませながら、ほろりと崩れる。
スープを飲むほどに、鶏を食べるほどに、はあ~と、充足のため息が深くなる。
今まで食べた「タッハンマリ」は、なんだったのか。
そして、そのスープに玉子緬を入れた。
「ああこんなの食べたら、もう○○のラーメンも食べられない」。同席の一人が呟いて、嬉しさと寂しさが同居した笑顔を作った。
心が包まれるラーメンというものがあるとしたら、これだ。
「なにか、親戚のおばさんとこで御馳走してもらったみたいだったなあ」。
店を出て、同席者がつぶやいた言葉に、一同がうなずいた。
月島「韓灯」にて。