食べてはいけない。
一擤みした瞬間、頭の中で誰かが囁いた。
それほどまでに、甘みが澄んで、穢れがない。
天上から滴り落ちる、尊いつゆを飲んだかのような、禁断のありがたみがある。
結界を破った、畏怖の味がある。
白く、たおやかで純粋無比なれど、豊満である。
優美な味なれど.奥底には、計り知れない艶がある。
深窓の令嬢が秘めた色気である。
それは一口食べた時から、我が筋肉のたるみや、血液の濁り、脂肪の汚れが、一瞬にして霧散していくのだった。
鳥取「かに吉」のゆでがに。