「フロリレージュ」移転後の同地に開店。店名「Abysee」とは、深海、奥深きものを意味し、その名の通り、深海をイメージしたクールな空間で魚料理を中心としたフランス料理をいただくことができる。
「他にはない個性を大切にしています」というシェフ目黒浩太郎氏は、若干30歳。「カンテサンス」の出身で、南仏で修行していた経験から魚料理中心の店を考案したという。
アミューズは、たこ焼きに見立てたような、「オマールエビの焼きビスク」。続いてライチーの甘い香りとエビの香りが、エレガントに共鳴する、「ボタンエビ、ライチー、蕪のタルタル」。
タイの出汁で低温で蒸したという、しっとりとして滋味をにじませる「メヌケのヴァプール」は、鶏のフォンにを使ったソースに持ち上げられて、うま味を膨らます。
4皿目は、茶色同士の滋味が馴染んで抱き合う「鶏レバーとフォアグラのラグー、穴子とズッキーニのパスタ」。
そしてシェフのスペシャリテである「「スープドポワソン」。海の豊穣が濃縮されて舌を過ぎ、充足のため息をつかせる。ほのかに香るオレンジの香りがいい。
メインは、「イサキ、マナガツオ、金目のポワレ シトロンとオランジェのソース」
極めて質の高い三種類の魚を、それぞれに火を通して生かす。
この後、チーズ、デセール2皿、プティフールと続く。ホワイトチョコレートを真珠に見立て、あこやがい型の皿にのせたプレゼンテーションなど、“海”をいかした演出が楽しい。