銭湯と温泉。

食べ歩き ,

居酒屋は銭湯である。燗酒は、温泉である。
「はぁ〜」。
冷えた体を湯船でいたわる。
たっぷりと張られた温泉に、一人浸かる。
とぷん。「はぁ〜」。
ため息がひとつ、まろみ出た。
体中の細胞が弛緩して、時間がゆっくりと動き出す。
そんな温泉に浸かった気分が、この居酒屋にはある。
うまい料理をつまみながら、宗玄を、長珍を、秋鹿を、旭菊を、七本槍を、竹雀を、群馬泉を、悦凱陣を、常温やぬる燗や熱燗でやる。
「はぁ〜」。
その瞬間に私は解放される。
すべてのしがらみや時間から解き放たれて、自由になる。
酔い心地に身をゆだねながら、心を横たえて、眠りにつく。
10年のおつきあいとなった「高太郎」にて。
すべての料理と酒は、タベアルキスト倶楽部にて