還暦の祝い

食べ歩き ,

還暦の祝いで、湯木さんが「かぶと焼き」を用意してくださった。

まだ大海の中で、生きていかんとしているような気配を残した、見事な火の通しでで、鯛は舌の上で爆ぜる。

しっとりと脂が乗って、しなやかに甘い。

地の甘辛さと抱き合いながら、ぐんぐん味が膨らんでいく。

そこへロマネサンヴィヴァンをそっと流し込む。

するとどうだろう.
薄桃色の鯛が、赤く赤く染まって艶を増す。

ありがとうございました。

「吉兆」にて。