軽井沢「メリメロ」にて

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軽井沢「メリメロ」にて<Farm to Table>という食イベントが開催された。
軽井沢を愛するスペイン料理研究家、渡辺万里さんが企画し、軽井沢にあるレストランのシェフ7名と、東京「シック・プテトール」の生井シェフが、軽井沢と信州の食材を使い、8人が8皿の料理を作るというイベントである。
合わせられるのは、Rue de Vinのワインと佐久芙蓉酒造の日本酒、松澤農園のフルーツジュース、秀果園のブドウジュースである
シェフの話、醸造家の話、生産者の話を聞きながら食事を進める。
作り手の重なりあった想いが、おいしさに繋がり、我々を幸せを運ぶ。
それぞれの料理をご紹介。
<紅玉> 松沢さんの林檎、依田さんのビーツ「レストラントエダ」戸枝忠孝シェフ
林檎とビーツのムースに包まれたフォアグラのアミューズ。林檎の優しさとビーツの土の香りが抱き合う。
<里山の滋味> 加藤さんの大王岩魚 永田さんの茸 「ホテル・プレストンコート」坂巻順一シェフ。
 深い滋味を湛えたスープに座るのは、岩魚のムース。チュイルも岩魚。黒文字を入れて煮出し茸と岩魚の骨のスープには、ほんのりと黒文字のホ甘い香りが漂う。茸の香り漂う清流の中を岩魚が悠然と泳いでいく。
<豊穣の国> 浅間のかおりさんの南瓜・清水牧場さんのウォッシュチーズ
 「ル・シャモー・イーヴル」大塚哲也シェフ
カボチェのジェノワーズ、信州味噌とウォッシュチーズのムース、南瓜のムース、刻みトリュフ、サフランのチュイルという構造となっている。ソースはトリュフと南瓜。
南瓜の優しい甘みにウォッシュチーズの酸味が溶け合う。底に薫るトリュフとサフラン。実にエレガントな味わいである。
<長野原の大地から> 加藤さんの信州サーモン・やまこきのこ園さんの茸
 「エブリコ」内堀篤シェフ
炒めた、傘が開かないと言うだるま椎茸、柳松茸、かん茸を、生と燻製の春愁サーモンで巻き、紫キャベツで巻いてまとめたものを、茸のスープに置く。上のソースはあかやまどり茸のソース。
茸である。むせ返るような茸の香りに満ちて、その中を信州サーモンの脂の香りが漂う。茸使いの達人シェフならではの料理。
<帰郷> 加藤さんの信州黄金軍鶏・由井さんのカリフラワー「シック・プッテートル」生井祐介シェフ
信州黄金軍鶏のヌイユをそのフォンで茹でてカリフラワーのソースと和え、揚げたケールをかぶせた一品。
ヌイユの鳥の滋味と優しいカリフラワーのうま味が見事に、丸く抱き合う。上のケールのアクセントが、またそれを活かす。ソースに微かにクミンか。
<千曲川> 加藤さんの佐久鯉・依田さんのポワロー・芙蓉酒造さんの冷やおろし「メリメロ」篠原啓治シェフ
揚げた佐久鯉とポワローと冷やおろしのソース。揚げた鯉が新鮮。ほのかなうま味があって、それが根菜類やポワローのソースと合う。皿の縁の茶色のソースに肝の味わい。
<天空の星> 遠山郷の仔猪・依田さんの蕪「無彩庵池田」池田昌章シェフ
4歳の雌仔猪のロースともも肉をカブの葉で巻きロティ。柿でマリネした蕪の上には、栗と炊いたバラ肉。つくね状は、バラ肉ともも肉と耳のソーセージ。ソースは蕪の葉と猪の脂によるソース。
ロティが素晴らしい、食感の異なる肉を巻いて噛む喜びを生み、命をいただく感謝をわき上がらせる。ソーセージの塩梅も蕪との相性もいい。
<OYAKI> 松澤さんの洋梨「ホテル・プレストンコート」厚東宣洋シェフ
信州名物お焼きをイメージしたという洋梨のタルト。
<つながり>8人のシェフのミニャルディーズ

軽井沢の豊かな秋が咲いていた。静かだが奥深い滋養を秘めた山の養分が体を流れていく。シェフ達の食材に対する愛が、血に溶け込み、心を熱くさせた。

Rue de Vin の素晴らしきソーヴィニヨン・ブランやシャルドネ、カベルネ・ソーヴィニヨン 芙蓉酒造の日本酒各種 松澤農園のフルーツジュース 秀果園のブドウジュース