赤い情熱

日記 ,

赤い情熱が皿の上で渦巻いている。
海が生んだ血の飛沫と、遠く離れた陸が育んだ土の飛躍が手を結ぶ。
マグロをフレンチやイタリアンで、表現することは難しい。
なぜならば、我々日本人は刺身や寿司での美味しさを熟知しており、どうしてもその味を超えられないことを感じてしまうからである。
しかし近藤シェフは違った。
生の赤身のマグロに、ビーツとザクロを合わせたのである。
食べれば、マグロの鉄分、血の爽やかな香りに、朴訥とした土の香りが共鳴する。
しかもそれは、古くから知られていた相性のように、自然なのである。
海と山はつながっている。
この料理で改めて、地球の摂理を学んだ。

白金台「センソ」の自然への敬意にあふれた刺激的な料理は別コラムを参照してください

2020年閉店