赤いお好み焼き

食べ歩き ,

赤い赤い部屋の中で、お好み焼きを食べた。
東京には美味しいお好み焼きがないと嘆いた店主のお好み焼きは、45分かけて焼き上げる。
うまいお好み焼きは、生地が語りかけるのさ。
それはカリカリの表面を突き破って現れ、とろりふわふわ、てれんと甘えながら耳元で囁く。
「おいしいよ」。
ほのあまいような、ほのうまいような、優しく丸い味わいが、舌を滑り、上顎を刺激し、ぼとりと喉に落ちていく。
「ふうっ」。
ため息ひとつ。
このため息が出るお好み焼きこそ、おいしいのさ。
「赤い部屋」にて。