浅草「仁行」

豊穣と朴訥

食べ歩き ,

いくらにはご飯。
最強のタッグである。
だが石井さんはそばの実を合わせた。
両者をつなげる役目に海苔を忍ばせた。
新いくらが歯の間で、ふわりと崩れ、卵の甘みが舌に流れる。
そばの実がプツッと弾け、素朴なそば香が鼻に抜ける。
海苔のうまみが、いくらとそばの実の間を取り持つ。
いくらの豊穣とそばの実の朴訥さ。
対照的ではあるが、どちらも生命の源である。
対照的ではあるが、源である力をもって、互いを引き立てながら馴染もうとする。
そこには自然の筋道があるような気がした。