あさりに色気を感じた日

食べ歩き ,

蛤に色気を感じたことはあったが、あさりにはなかった。
それがどうだろう。
まだ幼いながらも色気が香る。
味は濃いが、しつこくない。
丸い旨味を、舌にしっとりと乗せながら、身を崩していく。
そのふくよかな身に、歯を入れるのをためらうような、熟した品がある。
普通はあまり味のしない、ヒモまでが味が強い。
なんでも今の時期だと、キロ7千円近くするあさりを使っているという。
「あさりのアロスヴェルデ」である。
オリーブ油で唐辛子とニンニクを炒めて、あさりを入れて粉をスカ押し入れ、白ワインを入れ、魚のフュメを入れる。
軽く煮詰め、ニンニク入れてフュメで崩れるほどに炊いておいたご飯を入れて、パセ理をたっぷりと混ぜる。
塩味は強い。
しかしあさりが力強いため、この塩味でなくたていけないとい塩味なのである。
崩れた米があさりの旨味を含んで、優しい気分になった。
このご飯の崩し加減が難しいという。
うん、雑炊もそうなんだな。
サンセバスチャン「ibai」にて