たっぷりの乾燥キノコで出汁をとり、そこに生のキノコを入れて鍋にする。
しもふりひらたけ、松茸、花びら茸、しめじなどが、濃密なキノコの出汁を吸い込み、さらにキノコの精を深めていく。
そのうち頭のてっぺんからキノコが生えてくんじゃないか、そう夢想するほどコーフンした。
さらにここに夏鹿を入れる。
鹿の滋養とキノコの香りが抱擁して、鼻息が荒くなる。
鹿肉に松茸を巻いて、食べてみた。
これはいけません。
良い子は真似しちゃいけません。
最後は、鹿と茸が力を出し切ったスープに、麺を入れて食べた。
ふぅ。
四谷「蜀郷香」にて
山椒