寿司屋でお気に入りになるかどうかは、寿司自体の美味しさはもちろんだが、他にも重要な要素がある。
ご主人との相性ではないだろうか。
対面商売ゆえ、ご主人の人柄が気にいるかどうかというのは、重要な要素となる。
次に手元の美しさも気になってくる。
握る所作が綺麗なだけでなく、切った魚をどの器に乗せるか、寿司板の美しさや海苔の置き方などに、ご主人の一貫した考えがあると気持ちがいい。
僕は、基本寿司屋では燗酒を飲むので、燗上がりするうまい酒を置いているかが気になってしまう。
この酒の点で言うと、店は数軒だろう。
寿司のおいしさ、ご主人の人柄、手元の美しさ、酒の揃えの4点が揃うと、俄然通いたくなるのだな。
そんな店と、先日出会った。
まずミツカンの白菊で握る、酢飯がいい。
師匠よりやや塩を弱目にした握りは、優しく、口の中で舞う。
店主三井さん他、中学一年から同級生という元ドンチッチョの男性サービスとおかみさんもいい。
酒の揃えも面白い。
燗酒をくださいというと、燗上がりする春霞を薦めてくれた。
その後は冨久長のGENKEI、惣誉と続いた。
普通の板場より少し低く、所作がよく見える板場での、三井さんの所作も無駄がない。
さらには、焼きしめのお皿に切り身を置いてから握り、その握りを焼きの寿司板皿にのせる。
海苔は塗りの盆に乗せて用意される。
そんなとこも気に入った。
また「僕好きなんです」という、珍しい鯨の握りや長谷川さんのアオリイカに始まり、素晴らしいイサキ(たまには藤本さんのイサキも登場するとのこと)がにぎられるところも、心が掴まれる。
さらには、最後に追加注文した干瓢巻も、正しい。
酒はawabukiをグラスでいただき、その後燗酒を三合いただいた。
お支払いはこれで、約32000円。
ご主人と談笑しながら、一人握りをつまみ、酒を飲む。
いい店です
また通っちゃうな。
鮨みついにて