舌よ。あれが俺の肉だ。
目の前の炉で、鴨が焼かれる。ポルケッタが焼かれる。牛肉が焼かれる。
肉から脂が滴り、茶色く輝いていく。
早く食べたい。今すぐ手を伸ばして串を持ち、齧りつきたい。
そんなこちらの欲望を焦らすように、肉たちはじっくりとうま味を増していく。
いいさ、僕らは君が仕上がるまで、小皿の突き出しをつまみながら、ワインを飲むさ。
ギアラや蜂の巣、ミノが混ざった上等なモツ煮こみで、はやる心を抑えて、酒を飲むさ。
一刻も早く、肉にかぶりつきたいという気持ちを肴にするさ。
ああ、出来た。運ばれた。噛んだ。
そして叫ぶ。
「肉を食らっているぞぉ!」
代官山「FALO」にて。
舌よ
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