自分の油で骨を焼く。

食べ歩き ,

命の源を噛んだ。
岡山児島湾の鰻と、宮崎和匠の新子の鰻重である。
「天然鰻は、滲み出る脂で自分の骨を焼いてやります。脂を生かしたいので蒸しません」。
焼かれた鰻の表面では、脂が踊っていた。
多数の小さな脂たちが、小気味よく,跳ねている。
左の一枚が天然である。
蒸された和匠の新子は、ふわりとご飯と馴染んでいく。
噛む回数は12回くらいだろうか
甘く,夢となって消えていく。
一方穴ジャコを食べているという岡山の鰻は,筋肉がしぶとい。
噛めば躍動して、うまみが膨らんでいく。
30回ほどだろうか。
噛んで,噛んで,ようやく消えていった。
うまみを超えた命の滴りがある。
妙な表現かもしれないが,脂と筋肉が分離していない。
筋肉の中に脂が寸断なく入った,健やかな味がある
それこそ,あらゆる幸福の源であるのだ
浦和「鰻のぶはら」にて。