平河直さんは、民家で料理を出したいと考え、32歳の時に独立して唐津に移り住んだ。
唐津といっても、里山を背負った、わずかな民家が点在するだけの土地である。
築130年という民家を自らの手でコツコツと一年かけて改築し、なにも言わずについて来た奥様と2人で、店を始めだ。
「いい野菜や魚がたくさんあるんです」と嬉しそうに語る食材と、ひたすら誠実に向き合いながら料理を作る。
舌を浄化するような料理には、食材と触れ合った喜びだけが満ちていて、自我が微塵も感じられない。
人の名は体を表す。
直というなまえは、”すなお”と読む。
素直とは何かを考えさせる料理の話は、また明日。