ある納豆にハマった。
人に薦められて角館納豆という納豆を買ってみたのである。
わらに包まれた、つと納豆は、一つ90gと通常パックの倍近くはあるものの、4本で1100円と高い。
値段は3倍である。
だが食べてみてわすれていたことに気づいた。
1.わらの中の納豆はビニールで包まれている。だがそれを剥くと、もう粘っている。そういえば昔の納豆もそうだった。
2.開けた瞬間、辺りに納豆臭が漂い出す。これもまた昔の光景である。
3.かき回す前から粘っているので、10回ほどかき回せばネバネバである。
4,たった10回なのに香りの膨らみ方が、高い。
5.ここが、最も肝要なのだが、醤油が少量でも納豆自体の味が濃いため、十二分にご飯喚起力がある。逆に普通の納豆の感じでかけてしまうと、醤油とぶつかって、美味しくない。塩だけでもいい。
6.市販の納豆が、うま味の強い「タレ」をつけている理由に気づく。
7.食べている途中での、糸引き度合いが素晴らしい。何度も箸を回さなくては切れない。昔のままである。
8.食後の唇周りの残存臭と粘りが強力である。
9.市販の納豆なら、その食後感を拭うためにお茶を飲むくらいですむが、こちらは唇周りを丹念に、洗い流せねば拭い去れない。
つまり昔の納豆は、みんなこうだったなあと、思い出すことができる。
一人前で50円ほど高い。
だがその50円の差は、価値のある差なのである。