立ち食いそば屋のおばさんは、明らかに困惑していた

食べ歩き ,

立ち食いそば屋のおばさんは、明らかに困惑していた。
「タヌキとかき揚げは、同じようなもんだけど、いいの?」

「いいんです」。

僕はカビラ級の笑顔でうなずいた。
注文した「かき揚げたぬきそば」には、ちゃんと意味があるのだ。
タブルたぬきもダブルかき揚げも試したが、これがベストといきついた。
そばを食べている途中で、かき揚げもたぬきも無くなってほしくない。
最後までたっぷりと、揚げに埋まりたい。
その思いを叶えてくれるのが、これなのである。
無論、欠点もある。
大量の衣が、汁を吸って汁が足りなくなってしまうのだ。
しかしそこはさすが「かさい」。

大盛り用の大丼に盛ってくれ、つゆをたっぷり注いでくれた。
食べる。食べる。食べる。
衣が津波となって押し寄せる。
ほうら、ごらん。

そばを食べ終わっても、こんなに衣があるよ。
ここで第二のステップだ。
玉子を落としてもらってつぶして混ぜる。
そばつゆに黄身が溶けた味は、好かないが、これはいい。
黄味の甘みと油のコク。つゆのうまみと生姜の辛味が渾然一体となって、幸せの終焉に向かうのであります。
注)良い子は決してマネしてはいけません。