いなりずしっていうのは、食べ始めると止まらなくなる、困った食べ物である。
しかも東京には、様々なタイプがあるので、楽しみは尽きない。
江戸前の王道「志乃多寿司」。
裏返し揚げに柚子を効かせた、「おつな寿司」。
長年継ぎ足した漬け汁で黒い、いなり界のカヌレ「富田屋」。
小粋な一口焼きいなりで、栗が面白い「白金や」。
進化型ケイタリング稲荷の「TABIKITSUNE 」まで百花繚乱である
でもやはり、伝統的な江戸の味をと求めるなら、この店である。
店は一見、江戸前握り寿司店のような様相で、店内には付け台が置かれている。
でも出来ますものは、稲荷寿司と巻物だけなのである。
注文をすれば、その場で稲荷を包んでくれる。
だから、握りたてがいい。
ふんわりと包まれたいなり寿司を食べると、気持ちが優しくなる。
濃く甘い東京風のお揚げと、酢が効いた五目寿司とのバランスもいい。
僕は、わさびを効かせてもらった干瓢巻きや河童巻きを前菜に頼み、その後にいなり寿司を2、3個食べる。
するといなり寿司の甘塩っぱさがさらに生きて、ああ東京だなあと、しみじみ思うのですね。
関西の方には馴染みがない、濃い味わいかもしれませんが、そんな食べ方で、江戸を感じて見ませんか?
押上「味吟」





