神さま、私はアルバでいけないことを2つしました。
1つは、仔牛の脳みそをいただいたことです。
金色に揚げられた小さな脳みそは、菊芋のクリームソースに鎮座しています。
ゴメン。切るよと声かけてから切り、口に運びました。
親とは違う、つたなく、青い精が、菊芋が抱える、ほのかな青い性と共鳴して、ますます背徳感がつのります。
するりと抜け出す切ない色気に、胸が焦らされました。
そして2つ目のいけないことは、これでもかとかけられた、白トリュフのリゾットです。
時期は過ぎましたが、さすが本場、混じりっけのなき美しさと香りの高さは、まだ輝きを失ってません。
そして
リゾットに溶け込ませた山のチーズ、カステルマーニョの酸味が、隠微なトリュフの香りと呼応して、精神を勃起させるのです。
口に運ぶたびに、少しづつ心が溶けて、ふにゃふにゃになっていく。
ああ、いけない。でも食べたい。
そのせめぎ合いが、一層この料理の危うさを盛り上げるのですね。
神さま、どうかお許し下さい。
アルバ「a Ciau del Tornavento」にて。