マントバ時代、よく作りました

食べ歩き ,

目黒「ラッセ」を、勝手に救済。「マントバ時代、よく作りました」。
村山シェフが自ら運んでくれた、【トルテッリ・イン・ブロード】。
一口食べて、頬が黄金色に輝いた。

鶏の滋味がじっとりと広がる中、粉の甘みを噛みしめる。
途端、牛肉の香りが弾け、心をつかむ。
「はぁ~」。
目を細め、充足のため息一つ。

体中をぽかりと温める味わいに、愛が染みている。
余韻が長く、味が澄んでいる。

シェフは、料理名を告げる時、目がくるくると輝いていた。
「おいしい」と感想を述べると、子供のような笑顔になってはにかんだ。
誠実なお人柄に、誠実な料理は宿る。