目黒 いづみ寿司

痛風泣かせ。

「今日のアジは脂がのってますって冗談じゃねえや。脂がのってるやつなんて、シン(品)がなくていけねぇや。脂がのってるの食い炊きゃ魚にバター塗ってやる」。
「これはアワビの肝を五時間ほどシ(火)を入れたやつ」。
目黒「いずみ寿司」の親父はまあよく喋る。

物知りである。ウンチク多いけど、「今日のお客さんは反応が薄いねぇ」なんて、ウケを狙うことを喜びとして、人柄が可愛いので面白い。
腹抱えて笑うこともしばしば。
さてすしは後日書くことにして、「あんまり食べ過ぎちゃうとすしが食べられなくなっちゃうよ」と心配する振りしながら、食べさせたくてしょうがないっていう雰囲気丸出しの自慢の「舐めもの 塩辛類」
なにせ21台も冷蔵庫があって、管理しているのだ。

鯛の卵巣の塩辛。一ヶ月もの ほんのりと練れ味。上品。
かつおの酒盗、右マグロの酒盗。一年半もの。かつおの濃密、マグロの優しさ。
苦うるか。五年。これだけで30頭分。やばい。一舐めに、深遠たる味のカオス。
「色飛びさせないのはタイヘンなんだょ」と蟹の内子の塩辛、一年半もの。

ああなんたる香り。
そんでスメシ入れて混ぜちゃって、チキンライス色にしちゃって、もうやめて。
鯛の子の半年もの。酸味が出てこれはまたよし。
カラスミオンパレード
 真ん中がトキ鮭の子の味噌漬け
 続いて ひらすずきの子の味噌漬け
 ボラの子の味噌漬け 濃い!
 ひらすずきの子の風干しから墨
 ボラの子の風干しから墨
 ボラの子の塩から墨
酒が進む。酒が進む。飲みねぇ飲みねぇと迫ってくる。
食べ終えた舐めものの小鉢に残ったエキスに、酒注いで混ぜ、そいつを肴にまた一杯。
もう病気だね。通風の人さようなら。
しゃもの卵の味噌漬け、間引きさくらんぼの塩漬けとつづいて、
イサキの生肝ときたもんだ。まいったねぇこいつには。
酔いで記憶がかすむ中、にぎりが登場。

夜は更け、舌はのたうち、顔はくずれ、足はもつれ、頭に霞がかかるなり。