猛暑には甘味

食べ歩き ,

あまりにも暑いので、これはもう甘味処しかないと、飛び込んだ。
創業1837年の「初音」である。
みつ豆を頼む。
氷杏か、本わさびを使ったところてんか、冷やしぜんざいか、葛切りか。
散々悩んだが、ここはやはりみつ豆でしょう
白みつか黒みつか。
やはり黒みつでしょう。
運ばれてきた。
まずは寒天だけを一個口に含む。
ほのかに冷たい。
このいきなりひんやりではない冷たさが、さあこれからみつ豆を食べるぞという気分を盛り立てる。
次に塩豆を一つ。
ゆっくり噛めば、豆の幼い甘みが、滲みでる。
さあ今日は、どう食べよう。
大抵は、以下の作法で食べ進む。

1.まず寒天と豆を一つずつ食べる。豆の味と寒天の大きさでその比率を考える。
2.通常の大きさなら、寒天3個と豆一つが好ましい。
寒天がすくないと豆が出て、多いと豆が生かされない。「その前に寒天4個はスプーンにのらない」
3.別の技として箸をもらい。寒天三個をスプーンで口に入れてすぐ箸で掴んだ豆一つを追いかけるという手もある。
4.すあま一個は、そのまま寒天2個と食べ、一個は、黒蜜の中で漬け込んでおく。
5.フルーツの処遇。
さくらんぼは、序盤に食べると風景が寂しくなるので、後半戦に持ってくる。
みかんは酸っぱい。ゆえに寒天や豆とは一緒に食べず、リフレッシャーとしての立ち位置で、中盤以降単体で食べる。
杏は寒天2個と一緒に食べるのと、単体食べを交互に行う。
6.さいごは寒天を一つ食べ、豆を一つ食べて、優秀の美を飾る。

猛暑に、甘味処ほどのオアシスはない。