特製である

食べ歩き ,

特製である。
これだけ特製である。
新井薬師「萬来軒」は、どの町にもあるいたって普通な中華料理屋である。
中華料理だけでない。ハンバーグ定食もとんかつも,カレーライスもサバやホッケ定食がある。
定食を頼むと、自動的かつ強制的にに納豆がついてくる中華料理屋である。
いたって普通の、幅を広げたメニューの中に、これだけ「特製」の文字が光る。
「特製レバ炒め」。
ああ、普通の冷やし中華が食べたくて入ったのに、頼まないといけないではないか。
蟹玉や肉団子、チンジャオロースや海老チリも特製がついていないのに。
Bランチは、ラーメンに炒飯ではなく、カレーライスがなぜかついて650円だというのに。
「特製レバ炒め」。
ちなみにレバニラは定食でしかなく、一品料理の欄でこれだけが異彩を放っている。
タベアルキストの威信にかけて頼む。
「レバ炒めに、ビール大瓶下さい」。
「はっ?」
「レバ炒めです」。
「ああ、特レバですね」。
特レバか。しまった。
ジャー! カチャカチャ。厨房から調理の音が聞こえ始めた。
うむ。待ち遠しい。
やがて登場した「特レバ」である。
衣漬けてさっと揚げた豚レバーと、ピーマン、人参、筍、キクラゲを炒め合わせ、味付けして、片栗粉でとじたものである。
食べ始めて驚いた。
レバーは衣揚げと素炒めの両方が入っているのである。
だから飽きない。
食感の違いの妙がある。
よく見れば、野菜類はほぼ同寸で、いい仕事をしている
味は町の中華屋だから濃く、ちょいと下品だが、飽きない。
しまった、ビールではなくご飯であったか、と思うも時すでに遅し。半分以上は食べてしまっていた。
次回は、これを定食にしよう。
「特製レバ炒め」850円。
あっ、でも、納豆はいらないからね。