煮物椀三題 その二
1月のお椀は、雑煮だった。
たいかぶらの雑煮である。
お汁を一口いただく。
いつもより淡い。
鯛の質と大きさからだろうか、鰹節が遠くにいる。
淡いながら、豊かなうま味があって、体の底から幸せがせり上がってくる。
そこでかぶらを一口。
ああ。かぶらの美味しいこと。
「気張りはんなや」と、優しい言葉をかけられ、体に溜まったチリが落ちていく。
丸もちは滑らかな粘りがあって、穏やかな甘みを広げ、鯛を一口運べば、滋味がジワリと押し寄せる。
またお汁を一口。
かぶらを一口。
鯛を一口。
この幸せが永遠に続きますように。