渋谷「玉笑」を救済。
住宅街の只中にある交通不便な店なれど、お客がポチポチと入ってくる。
恵比寿より復活して間もないが、新しく加わったのが「温もりせいろ」だ。
温めたそばを、溶き卵と濃い目のつゆでいただく。
星入りのせいろより、すっきりした色合いのそばでやや太い。
蓋をとるとそばの、乾草のような香りが立ち上る。
まずはそのまま手繰れば、鼻に抜ける香りは弱まるものの
優しい甘みが広がって、穀物の恵みだという実感がにじりよる。
つゆにつければ、そこへつゆと卵の甘みが加わって、なんとも微笑ましい。
「せいろ」の、エッジの効いた野味とは違う、ほっこりとした味わい。
最後に残ったつゆに蕎麦湯を注げば、見事な玉子とじとなって、また笑う。
なんでもご主人は、大阪お初天神「瓢亭」出身とか。
そうか。「夕霧そば」へのオマージュなのだ。
渋谷「玉笑」を救済
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