<駅弁勝負> 第38番 浮気をした

駅弁 ,

浮気をした。
百円高く払って、浮気をした。
フタを開けると、正妻シウマイ弁当と同じ5個の焼売が並んでいる。ただしごはんとの間に仕切りがないので、今回はトレイのフチを使って傾けたが、機内などでは、ご飯への醤油流出はまぬがれないだろう。
蒲鉾と卵焼きは正妻と同じだか、後のおかずは違う。
蒲鉾と玉子焼きを焼売の間に無理矢理割り込ませて(しかも半分までという中途半端さ)いる点と、対照的な野菜の詰め方の緩さが、整頓が出来ない自分の性格を指摘されているようで、心が痛い。
焼売に始まって焼売に終わる。正妻と同じ精神でのぞんでみた。
1個目の焼売を取ろうとすると、隣の焼売と別れるのがいやらしく、皮が隣に引っ付いたままはがれ、半裸になってしまった。「恥ずかしい」と言っている
肩身が狭そうな半裸の焼売は、肉の味を出すことより、結着に力を傾けているようで、味が薄い。
困った。これでは一個一俵の法則が取れないではないか。
やけくそになって肉団子を食べたが、どうやら焼売と同じ肉のアンを使っているようで、これまたご飯の喚起力が弱い。
恐らく炭水化物の過剰摂取(といってもご飯の量は決まっているが)をやめさせようとする思いやりかと考えられる。
そのため、ゴメンねゴメンねと言いながら、醤油をたっぷりとかけたが、それでもご飯が進まない。
僕は意図を汲んで、ご飯を残した。
減量中にはありがたいが、浮気の代償は高かった。