水天宮「日本橋蠣殻町 すぎた」

様々な想いが込められているのだろう。

食べ歩き ,

寿司板に握りを置くと、指はゆっくりと離れていった。
一瞬間があって、別れを惜しむように去っていく。
「どうぞ、お召し上がりください」。
「心を込めて、握らせてもらいました」
様々な想いが込められているのだろう。
いや
「お前、おいしく食べていただくんだぞ」と、我が子を送り出す、心境なのかもしれない。
それを知ってかカスゴは、喜びを膨らませているかのように、肌を薄橙色に染めて、かがやいていた。

「すぎた」にて。

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