ドュワリカスホテルに入った途端、街の喧騒は消え、鳥たちのさえずりに包まれた。
建物の中に入ったと思ったら、そこは外界と遮断された、森の中だった。
小さなフロントから進むと、太い木々が生い茂り、夜空が見える。
BGMでも流しているのかと思ったら、本当の鳥が木々の間を飛び回っている。
街では見かけない鳥たちがなぜいるのだろうか。
「K R I S H N ASR A P A N」、ネパール料理を出す、ホテルのメインレソトランである。
入口には、カーター元大統領やモディ首相など要人が訪れた写真が飾られている。入り口で靴を脱ぎ席へと案内された。
低い机に座椅子という組み合わせにくつろぐ。
様々な民族衣装を着た女性が、入れ替わりサービスに来る。
ウェルカムドリンクは、「ロキシー」である。
平杯に高くから注ぎ入れる
「アルコールが強いの手巻きをつけてください」と言って、笑った。
ロキシー(raksi)**は、ネパールやインドのシッキム州などで作られる伝統的な蒸留酒で、米やシコクビエなどの穀物を原料にした蒸留酒である。
少しクセがある米焼酎と言ったらいいだろうか。そんな味である。
一皿目の前菜は、ネパールのニュワール族の伝統的な料理Samay Bajiだつた。
多様な食材が一つの皿に盛り付けられるしきたりで、金の盆には豆や魚などが盛り合わされている。
揚げた豆、乾燥豆、煮豆、味付け豆、鶏のチョエラ (肉を直火で焼き、スパイスやにんにく、しょうがでマリネしたもの。辛い)。
潰した米の干し飯(チウラ)、じゃがいもサブジ 、レンズ豆のパンケーキ、川魚のフライという布陣である。
チョエラ@とチウラを混ぜて食べるといい(なんか言葉が似てるなあ)。
チウラは、こちらに来てから何度か食べたが、まったく違う。
街場のチウラは、それなりにおいしいが、恐らく大量に買い付けたものを出しているのだろう。
しかしこの店のチウラは、バリリと前歯の間で音を立てては、軽やかに消えていく。
そして何よりコメの甘みを感ずるのである。
「ホームメイト?」と聞けは、
「はい。自家農園で完全オーガニックで作った米で作っています」と、サービスの女性が得意げな顔をした。
あと5皿。
期待が膨らむ。
以下次号。