柿の本性。

食べ歩き ,

果物は数あれど、柿ほど謙虚な奴はいない。

どの果物より日本人とのつき合いは長いのに、偉そうではない。

料理になっても慎ましい。

柿なますでは、大根や人参に同調し、ほんのり甘さ主張するに留まっている。

ところが揚げると、一変する。

胡麻油の香りに包まれた果肉は、ねっとりと甘く、妖艶で、気高く堂々としている。

秋になると、

そんな柿に無性に会いたくなって、日本橋の天ぷら屋「てん茂」に足が向く。