東京都の天丼

食べ歩き , 寄稿記事 ,

天丼

都内、千円台と二千円台で、天丼のおいしい店をご紹介。

 

新宿・つな八つのはず庵

ご存知「つな八」の高級店。創業88年特別企画特別メニューとして、年内、「江戸盛り天丼」1575円でいただける。

二階の落ち着いたカウンター席でいただく天丼は格別。蓬豆腐の突出しの後に出される天丼は、海老二本、活穴子半匹、海苔、紫蘇、小海老かき揚げ、黄味揚げといった布陣。衣の香りがよく、やや甘味が勝った丼つゆが、ご飯の甘みと合う。黄身揚げを途中で割って穴子につけても一興。赤だし味噌汁、沢庵薄切りと蕪の香の物、珈琲付。

 

 

大塚・清島

花街の名残りがある、三業通りにて長く営む。70歳を過ぎたご主人が丹精に揚げる。「天丼」は、千五十円。朱塗りの丼に、カリッと揚げた、海老2本、海老とイカのかき揚げがのる。甘辛く香ばしい丼つゆに浸かった天ぷらを齧り、つゆを少な目にかけたご飯を掻き込む幸せ。白菜と大根の新香、豆腐の味噌汁。「かき揚げ丼」千二百五十円もいい。

 

 

江戸川橋・天仙

「特製天丼」千六百円は、こっくりと濃い江戸下町風丼つゆにまみれた天ぷらが、hご飯を呼ぶ。海老二本、しし唐二本、穴子一匹、キス一匹、椎茸海老詰め、小海老のかき揚げに柚子片が乗る。大根菜と胡瓜の新香、しじみ赤だし。ご主人の気さくな応対も、下町風で心温まる。

 

 

高円寺・天すけ

カウンターのみ。行列のできる天ぷら屋。

人気は、「天丼玉子」千二百円。甘辛い天つゆに潜らせた、海老、イカ、キス、ピーマン、茄子に、玉子の天ぷら。玉子は、黄身の甘みと油のコクが相まって、ご飯を勢いよく掻き込ませる。また、途中でメゴチ350円を追加してもらったりなどといった楽しみ方もできる。

 

六本木・味覚

自家畑で収穫した野菜の天ぷらが美味しいことでも知られる天ぷら屋。八種類の野菜が揚げられる「野菜天丼」千百円もいいが、珍しいのは、「塩天丼」千二百円。白いご飯の上に、カリッと揚げた海老二本、小海老かき揚げ、平目皮、サツマイモ、茄子、ブロッコリー、玉葱の天ぷらがのり、塩がかけられる、かき揚げを崩し、天バラ風にして食べると一層おいしい。自家製野菜は初夏から冬にかけて出される。

 

神田・まつや

ご存知老舗そば屋。お奨めは、「かき揚げ天丼」九百五十円。ご飯の上に、小振りな海老を二匹連ねたつまみ揚げ、イカのかき揚げ。火を通しがよく、素材の味が確かにする。甘めのつゆが衣に染みた、正統庶民味。丼は赤、藍の染めで松の木ごしに一軒家。重で出される車海老二本の「天丼」千九百円、三本の「上天丼」二千四百円も。

 

 

築地・天房

場内の天ぷら屋。胡麻油とコーン油でカラリと揚げ、やや甘めの丼つゆに潜らせたエビ、キスやメゴチなどの白身魚、かき揚げによるベーシックな「天丼」千円のほか、「かき揚げ丼」千四百円、「穴子天丼」千百円など、いずれも安くておいしい。珍しいのは「芝エビ天丼」千三百円(季節限定)。頭と尻尾、足を付けたままの芝エビ五匹のつまみ揚げが三つのる。バリッとした歯触りの頭や足は香ばしく、身はほのかに甘い。

 

 

新橋・逢坂

確かな技で揚げる天ぷらで、近隣一の人気店。お昼の天丼は、「天丼」千四百円と「特製天丼」2800円。朱塗りの丼に入れられる「天丼」は千円台で食べられる、都内の天丼の中では、群を抜いている。種、油、ご飯、天つゆ、バランス、全てにおいて申し分なし。布陣は、甘みのある海老二本、味の濃い穴子半匹、キス、しし唐、さつま芋、小海老といんげん、百合根のかき揚げ。辛がかった丼つゆは凛々しく、香りがいい。

 

 

銀座・天亭

「天亭」の昼の「天丼」2625円は、春風だ。そよそよと温かく、爽やかな気分が吹き抜ける。海老、穴子、アスパラガス、キス、かき揚げ。素材の風味が。高く香り、軽やかである。この値段ではかなりお値打と感じるほど、素材の質が極めて高く、ご飯も上等で、濃いだしによる甘辛い丼つゆもおいしい。優れた天丼を、よそい他の温度が保てるよう特注した、断熱材入り丼器が盛り立てる。お新香味噌汁ともに、一点の曇りなし。

 

 

京橋・深町

京橋の路地に佇むカウンターのみの天ぷら屋。お昼限定「かき揚げ天丼」2500円が素晴らしい。小海老、舞茸、帆立、空豆百合根、蟹、蕗の薹といった種を刻んで、かき揚げに仕上げている。口の中で様々な食感が弾け、色々な香りや、甘さ、ほろ苦みが立ち上がり、心躍るかき揚げ丼である。筍など季節によって変わるタネも楽しい。

やや甘が勝った丼つゆは、出汁の品の良さがあって、実にキレがあり、おいしい。それを浸けるのではなく、上からかけてある。がっちりと揚げたかき揚げとのバランスもいい。

ご飯も上等、大根、キュウリ、白菜、人参のお新香類、味噌汁もおいしい。丼は、かき揚げ天丼のみ。

 

 

麹町・天真

麹町で二十数年営まれる天ぷら屋。6席のカウンターと背中合わせになった、珍しいお座敷天ぷらの個室。他にテーブル席がある。お昼は、「特製天丼」3500円、「活海老野菜天丼」2200円、穴子天丼1800円、「野菜天丼」1200円と、バリエーションがある。ある日の野菜天丼は、オクラ、アスパラガス、厚切り蓮根、さつま揚げ、ブロッコリー、水ナス、茗荷、カボチャ、椎茸といった布陣で、力のある野菜の味が、ご飯を掻き込ませる。特製天丼は、海老2本、キス、穴子一匹、紫蘇のすり身揚げ、椎茸、アスパラガス、茄子にブロッコリー。優しい甘みのキス、味の濃い穴子、ほのかに甘い海老とも質が高い。ご飯、丼つゆ、お新香、味噌汁も、申し分なし。

 

各店舗の写真は、各店舗名で検索して下さい