東京ラーメン 昭和の味8 笹塚・福寿

食べ歩き ,

笹塚・福寿

1954年創業。庶民的な住宅街に佇む木造の一軒家。

白地に赤の雷紋で縁取った白暖簾に中華そばの一文字。

ガラス戸、パイプ椅子、三和土、傾いたカウンター、いまだ漂う昭和初期の香り。

「ラーメン」五百円を頼むと、ご主人が大鍋で麺を茹で始め、こまめに指先で加減を確かめながら一分。

麺はスープと合わされ、青い雷紋で縁取られた丼で登場する

かけそばのような醤油色の濃いスープは、こっくりと醤油味がききながら甘みを感じさせる優しい味わい。

そこにからむは、しこしこと弾むコシの強い縮れ中細麺。

具はチャーシュー、しなちくに葱。「しみ滋味」とでも呼びたいような味わいは、半世紀にわたり、平凡を守り、点検を怠らなかった誠実が詰まっている。