東京とんかつ会議68回
上野「山家」「上ロースカツ定食1100円」
【肉2油3衣2キャベツ2ソース2御飯3味噌汁2お新香2特記なし 合計18点】各項目3点特記1点総計25点満点
昼時は、常に10人ほど列ができているほどの人気店である。その秘密はとんかつの安さにあることは間違いない。すでに都内のとんかつ屋60数軒を踏破したが、この肉の量と質で1100円は、相当なお値打ちである。
安さだけでない。定員の方々の気働きがいい。次々と入ってくるお客さんに、食べ終えて帰っていくお客さんに、「いらっしゃいませ」。「ありがとうございました」。と声ををかけるのは他店と変わらないが、心がこもっている。商いをさせていただいてありがたいという気持ちがこもっていて、胸がすくっと軽くなる。カウンターに目印で箸置きを置くが、黙っておかない。「ご注文の目印で置かさせていただきます」と言葉を添え、常に「お茶のおかわりはいかがですか」とたずねる。帰り際には、「ありがとうございました」とともに、「お気をつけて」と、言葉を添える。カツの値段とともに、下町の心意気が感じられる店である。値段が安い分、総合点では低いが、全ての点において、できる限りのところで最高の品を出そうという心構えがある。
肉はきめ細かく、ブランド豚に比べると肉の味は弱いが、十分とんかつを食べる喜びはある。衣は細かくザクザクと音を立て、高温ゆえやや焦げがあってほのかに苦いが、揚げ切りはすこぶるいい。高温系では、衣が肉からはがれる傾向にあるが、当店は肉に水分が適度にあり、揚げすぎもないのだろう、衣は密着している。
キャベツはきざみ方が粗いが、甘みがあり、シジミ汁は余分なうまみが強いが、味噌の香りがある。白菜の新香も必要にして十分。ソースはややくどい。しかしご飯が、甘くおいしく、炊き具合もいい。17席のカウンターにずらりと並んだお客さんが、一斉にとんかつをほおばる景色も、とんかつ好きにはたまらない。
(写真は上ロースカツにアジフライを単品で頼みました)