東京とんかつ会議60回殿堂入り審議 神田「万平」のロースかつ定食1650円

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東京とんかつ会議60回 殿堂入り審議
神田「万平」のロースかつ定食1650円
前回【肉2衣3油3キャベツ2ソース1御飯2新香2味噌汁2特記ハンバーグ1 18点】今回【肉3衣3油3キャベツ2ソース1御飯2新香3味噌汁2 特記ヒレカツ1 20点】 

老年のご主人が一人厨房を守り、独特の方法でとんかつを揚げ、ハンバーグを焼き、人気のカキフライや牡蠣バターを作る。気さくなおばさんたちによる、心が届くサービス。次々と入ってくる、中年のお客さんは、一人客が多く、座るなり注文を伝えるところを見ると、間違いなく常連であろう。いつまでも続いてほしいと願う、下町の心意気がにじみ出たとんかつ屋である。
揚げるは茨城のいも豚で、中温で揚げてから、オーブンで油を焼き切る独自のやり方で出される。ラードのコクを伴った衣は、きめ細やかで、肉にぴったりと寄り添い、油キレよく豚肉を盛り上げる。背脂が掃除された肉は、しっとりと肉汁を含み、甘い香りはやや乏しいもののとんかつのおいしさに満ちている。食べ進むとややパサつきが気になるゆえに前回は2としたが、今回は感じられずに3とした。
キャベツは細くみずみずしく、柔らかめのご飯も上等。味噌は白みそ風の甘口。赤だしの辛さをとんかつの合の手にしようという店が多い中で異例だが、甘さが程よく、食べ進むうちに温かい気分となってくる。お新香は白菜だけだが、つけ具合よく、とんかつの味をいったん切って、定食を軽やかに食べ進ませる役割が、必要にして十分。
ソースは甘く、つんとした強いクセがあり、この粋なとんかつやキャベツには合わないと思うのだが、どうだろう。
卵で包んだブタ肉のハンバーグ、冬のカキ料理とともに奨めたいのが、ヒレカツ(定食1960円)である。歯を包み込むようなしなやかな食感に、甘い香りが漂うヒレカツならではの幸せが訪れる、ロースと一緒に食べても引けを取らない、都内随一のヒレカツである。