東京とんかつ会議169 西荻窪「とんかつ けい太」南洲自然豚上ロース膳2400円

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東京とんかつ会議169   西荻窪「とんかつ けい太」南洲自然豚上ロース膳2400円
【肉3衣3油2 ソース2キャベツ3ご飯3味噌汁3お新香2特記 海老フライ合計22点】各項目3点満点特記1点総計25点満点

「いらっしゃいませ」。
地下に降りていくと30代であろうハンサムな若い店主に出迎えられた。
こざっぱりとしたカフェ風の店内といい店主の面持ちといい、初期の「成蔵」を思わせる。
南洲自然豚というブランド豚は、鹿児島県の佐多で育てられている豚で、原生林から湧き出る湧き水を飲ませ、75日目から臭みの原因となる動物性飼料は与えず120日目からは、とうもろこしを加えず、小麦を20%与えることにより、べとつかない脂に仕立てているのだという。
注文が通ると、冷蔵庫から衣のついた肉を取り出し、銅製の鍋で揚げ始める。だが音はまったくしない。
160~70度くらいだろうか。かつは静かに火を入れられていく。やがてカツは取り上げられて、油を切り、隣の高温フライヤーに入れて、揚げ切る。
休ませたのち、切られて登場した肉は、中心部が濃い桃色に輝き、溶け出た自らの脂で、しっとりと濡れている。
肉はきめ細かく、雑な香りは一切なく、ほのかに甘く、脂はゆるりと、脂の甘い香りを膨らませながら消えていく。その香りと、揚げ油のラードの甘い香りが共鳴する。
いいとんかつだなあ。
しかしさらなる理想を求めるなら、もう気持ち火を入れられた方が、豚肉の美味しさが膨らむとおもわれる。また若干衣の油切れが気になったため、油を2とした。
ただ他の二人の写真を見ると、肉の中心部の色合いや衣の色が若干違うようにもみて取れる
ゴロゴロと豚肉が入った豚汁やご飯も真っ当。先に単品で頼むことができるキャベツや、キュウリとカブ、人参の浅漬けキャベツのお新香も上等である。
海老フライは、ラードの甘い香りに包まれ、噛めば海老の優しい甘みがこぼれ出る。