東京とんかつ会議103回目白「旬香亭」ロースとんかつ1500円(ランチメニュー)
【肉3衣2油3キャベツ3ソース3御飯3味噌汁2お新香(ポテトサラダ)2特記ハンバーグ、フライドチキン1合計22点】
「今度とんかつ屋を始めるんだ」。 今から10数年前に、赤坂「グリル旬香亭」(閉店)をやられていた斎藤元志郎さんが、嬉しそうに語ったのを覚えている。とんかつが大好きだった斎藤さんは、理想のとんかつ屋を目指して、赤坂に「フリッツ」を作られた。「フリッツ」のとんかつやフライ類は、食材の質や揚げ方など郡を抜いていて、揚げ物好きの人たちを熱狂させたものである。「フリッツ」閉店後は、お茶の水にとんかつ発祥店の名前をつけた「ポンチ軒」を開く。
「ポンチ軒」はご存知のようにすぐれたとんかつがいただける店として、この会議でも殿堂入りを果たした店である。
その後、今から3年前に開いたのが、洋食屋の「旬香亭」である。シェフは長年斎藤さんの右腕として活躍されていた古賀シェフで、カレーや海老フライ、ハンバーグと言った洋食定番メニューに加えて、とんかつもある。
豚肉は、「ポンチ軒」と同じ北海道夢の大地の豚肉。きめ細やかで脂とけがよく、ほの甘い香りが漂う、質の高い豚肉である。切られた厚い断面を見れば、中心が微かにピンク色で、しっとりと汗をかいている。とんかつ好きなら、この光景を見ただけで、胃袋が鳴り、唾液が出てくるだろう。
衣は中粗だが、油切れよくサクッと揚げられていて、中の肉とのバランスもいいが、やや衣が勝ちすぎる嫌いがあり、もう少し細かく均一な方がとんかつを活かすと思った。
脇役の中で特筆すべきは、キャベツだろう。ガストロパックという減圧加熱調理機にかけられたキャベツは、まだ地に根を張っているかのように半透明で、おそろしく甘く、みずみずしく、朝露の味がする。
このキャベツを食べながらとんかつをいただく時間は、なんと素晴らしいものか。
御飯、蕪の味噌汁、数種揃えられたソース類やマスタードなどもいい。
特記に上げた、都内屈指のハンバーグや、同じくガストロパックで調理されたフライドチキンなども、驚きの味わいである。