東銀座「とんかつ斉藤」

東京とんかつ会議 218回 東銀座「とんかつ斉藤」

東京とんかつ会議 218回 東銀座「とんかつ斉藤」 「特上とんかつ三種コース」3300円プラス ロースカツ800円
【肉3衣2油2キャベツ 3ごはん2味噌汁 3お新香2ソース 2特記カレー合計20点】各項目3点満点特記1点総計25
熊本の銘柄豚を扱う。面白いのはその提供スタイルで、普通のとんかつ屋の定食は、昼のランチ時限定15食の「ロースカツ定食」で,あとは数種類の部位を揚げて出す。
それぞれ「特上とんかつ3種コース」は、それぞれ約60gほどの肉に衣をつけて揚げ、二つに切られて登場する。メニューには,「上フィレ、リブロース、本日の赤身部位、味噌汁,キャベツ,ご飯,小鉢、〆カレー」と書かれている。
訪れた日は、赤身部位はランプ、LIVロースではなく、バラ肉だった。バラ肉から出されたが、これは珍しい。バラ肉カツは、全国を見ても希少だろう。脂の甘い香に溢れておいしいが、中心がやや赤い、ミディアムレア気味に揚げられており、この部位には適していない。何層にも入った脂の下にある筋に,完全に火が通ってないため、食感がいちじるしく悪くなるからである。
続いては,ランプ肉。少し膨らんで肉汁が滲む、揚げ具合で、これはきめ細かい赤身肉を堪能できる。さらにヒレ肉は、通常臭みを感じやすいのだが,事前の保存処理がいいのだろう。臭みが微塵もない。豚肉の優しいあまみが伝わる、上等のヒレカツである。
これだけでは,判断できぬと思い,追加で頼んだロースカツが素晴らしかった。脂は溶けるように消え、噛み締める喜びのある肉からは滋味が滲む。揚げ具合も完璧である。
このように一口カツ状態で出されると、食べているうちに余熱で火が入りすぎることなく,ベストな熱々状態でいただくことができるので、嬉しい。
ただし、切断面が上を向いているのにも関わらず、片面の衣が湿気でいた。十分寝かせず切った為に,肉汁がまな板を濡らしてしまってのだろう。折角の揚げ切りのいい、中粗衣がもったいない。
玉子醤油ソースがかけられたキャベツはみずみずしく、とんかつとぶつかるためか、あえて豚肉を引いた具のない豚汁もいい。
お新香は浅漬け胡瓜2枚と茗荷と,寂しい。茹でオクラの小鉢を減らしてでも,充実してほしい。
高田馬場「とんかつひなた」の特別コースや銀座「活神」のように、豚肉の様々な部位を、カジュアルな値段で楽しめる、新たなとんかつ屋すたいるの、誕生である。
最後にもう一つ注文をつけるとしたら、メニューに書かれていたリブロースがバラ肉に変更になるのは致し方ない。だが、事前にそのことは伝えるべきではないだろうか。なにしろ肉質が異なるし,リブロースを期待して頼んだ方は,拍子抜けするだろう。
山本氏
限定ロースかつ定食1500円(平日ランチ)
【肉2油2衣2キャベツ3ソース2ご飯3味噌汁2お新香2特記なし合計18点】
河田氏
ロースかつ定食(1500円)
肉2、衣3、油3、キャベツ3、ソース2、御飯3、新香2、味噌汁2、特記 なし 計20点(