東京とんかつ会議 第170回 殿堂入り審議 車力門 ちゃわんぶとんかつ定食(3500円)

とんかつ会議 ,

東京とんかつ会議 第170回 殿堂入り審議 車力門 ちゃわんぶとんかつ定食(3500円)
肉2、衣3、油3、キャベツ3、ソース3、御飯3、お新香3、味噌汁3、特記 なし 計23点(各項目3点満点、特記項目含め25店満点
「美しい」。
運ばれて来たとんかつを見た時、思わずひとりごちた。
長方形の陶板に盛られたとんかつは、衣が均一に揚がり、等間隔で狭い幅で切られている。
もうこの姿を見ただけで「仕事をしている」とんかつだということがわかり、気持ちが清々しくなる。
とんかつは320gで、実は写真に見えている裏側にかぶりの部分が100gほど盛られている。
カリリと香ばしく揚げられた衣は、油切れがよく、米油ということで軽く、これだけ量があってもスルスルと胃袋に入っていく。
群馬の坂東もち豚の肉はきめ細かく、甘い香りの肉汁が溢れ出す。
この幅の切り方も、このとんかつを口に入れた時のおいしさが最大限発揮される切り方である。
つまり、とんかつという料理に対する敬意に満ちた姿なのである。
量が多いので、素のままや、塩をかける。添えられる辛子醤油(脂の多いかぶり部分がおすすめ)、そしてソースと多部分けるといいだろう。
そして脇役陣が、極めて質が高い。
甘くふっくらと炊けたご飯、味噌が香ばしい、油揚とネギの味噌汁、みずみずしいキャベツ、甘さのキレがいい自家製ソース、きゅうりとキャベツのお新香は、どれを取っても、和定食の誠実を貫かれている。
油は、ラードの甘い香りが欲しいところだが、この量を出されるなら米油が正解なのかもしれない。ただ一つだけ欲をいえば、肉にもう少しだけ力が欲しいと願い、2とした。
サービスされる黄身入りカレーはマイルドなので、もしカツカレーを望むなら、小皿にご飯を取り、カツに少しソースをかけて描き込むとおいしい。