東京とんかつ会議 第73回 あき山 ロースカツ膳(1600円税別)

とんかつ会議 ,

東京とんかつ会議 第73回 あき山 ロースカツ膳(1600円税別)
肉3、衣3、油3、キャベツ2、ソース2、御飯2、新香2、味噌汁3、特記なし20点(各項目3点満点、特記項目含め25点満点)

いかにも下町らしい、気さくで話し好きの女将さんとご主人という、年配のご夫婦二人で営まれる、街のとんかつ屋である。
訪れた時のお客さんは、老夫婦二人と女性客一人だったが、どちらのお客さんも初会らしいのに関わらず、最後は女将さんと楽しく世間話をし、「また来ます」土肥って店を出て行った。人情味溢れるこういう店が少なくなった。
とんかつは、衣をやや焦げ茶色に仕上げた、高温系の揚げ方だが、細かい衣がぴったりと肉に寄り添っている。水っぽくない、質のいい豚肉を使っていることと、揚げ切るタイミングの見極めが優れていることの証である。
ロースカツは、やや突っ込んだ揚げ具合で、運ばれた時が最高の状態になっている。なにもつけずに噛めば、甘い香りが広がり、じっとりと肉汁が滲み出す。掃除されて細くなった脂身部分の溶け具合も軽く、緻密な肉質との対比が楽しい。
ただし食べ進んで行くと、余熱で肉に火が入り、一切れ目の味わいの美しさが次第に薄れていくのが惜しい。出来うるなら、もう一歩手前に留め置き、最後の一切れまで最上の状態を楽しみたい。
衣はカリリと香ばしく、一切れを歯で半分に千切っても、まったくはがれるそぶりすら見せない。見事である。
ソースはかなり甘めであるが、芥子と合わせて食べれば、肉にも合う。麦味噌を使った青海苔とネギの味噌汁は、青海苔の香りと甘い味噌の香りが抱き合って、トンカツの間の手としては最高である。
お新香は胡瓜と大根のようだが、とんかつの前に上新香で一杯やっていたので、「上新香食べられたので、こちらに変えました」と女将さんが言って、フルーツトマトのマリネを小鉢に盛って出してくれた.この細やかさもまた、下町ならではの温かさなのである。

山本氏

【肉3衣3油3キャベツ2ソース2御飯2味噌汁3お新香2特記なし計20点

河田氏

肉3、衣3、油3、キャベツ2、ソース2、御飯2、新香2、味噌汁3、特記なし20点