東京とんかつ会議 第39回 蒲田「檍」の「上ロースカツ定食(1300円)

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東京とんかつ会議 第39回
蒲田「檍」の「上ロースカツ定食(1300円)
<肉3、衣2、油2、キャベツ2、ソース2、御飯2、新香1、味噌汁3、特記塩1 18点(各項目3点満点、特記項目含め25点満点)>

この辺りに住み、働くとんかつ好きは、幸せだろう。1300円で林SPF豚を使った、分厚いとんかつが食べられるのだから。そのせいか17時30分に出かけたら、すでに満席で、列ができていた。
厨房に立つのは老齢のご主人と女性。奥さんだろうか? 彼女の快活なサービスが気持ちよく、この店の居心地の良さを支えている。
上ロースで、他の店の特ロースに当る厚さである。それを一つの鍋で、やや高温で揚げていく。
上ロースの中心はほんのりピンク色で、うっすらと肉汁が光る。噛めば肉が緻密で豚肉本来の甘みが広がる。
衣は粗め、肉に密着し、サクサクと軽快な歯応えでとンカツを盛り上げるが、食べ終わりに砕けた衣がたくさん皿に残ってしまう。粗さをもっと細かくした方がいいとは思うが、大きいとんかつを求めてこの店に来られる方の嗜好としては、今の粗さがあっているだろう。
厚いゆえ、一部脂に十分火が通っていず、食感が悪く、噛みきれない部分がある。脂に甘い香りがあるだけに残念。それゆえに油を2とした。キャベツの浅漬けが少し寂しいというだけで、キャベツ、ご飯、味噌汁、ソースといったわき役陣も、手抜きがない。中でも根菜主体の豚汁は、あっさりとしてしみじみうまい。
ヒマラヤ岩塩ナマック、モンゴル岩塩、アンデスボリビア岩塩、インカの天日塩、モートンロックソルトテキサス岩塩、沖縄さんご海深塩といった塩が6種類用意されており、小皿にとっていろいろ試してみるのも楽しい。苦みや甘味、結晶の大きさで肉の味が変わるのを体験できる。
中でも硫黄の香りがするモンゴル、優しい甘みの沖縄、結晶が粗いテキサスとの相性が面白かった。