「はい。店はいつも夜だけです。でも短縮だから、試しに朝5時から1週間だけと思って始めたんです。そしたら5時にお客さん来てね。開けていたもののびっくりしました」。
「燗とコーヒー藤々」の主人はそう話された。
昼の12時、「五日間だけの早朝食堂」と書かれた品書きを見て、思わず入った。
焼き魚、煮魚、刺身のほか、チャーシューエッグ、唐揚げ、ジンギスカンなどがあり、一品料理や冷やし中華もある。
うむ、どの定食にしようかと悩んでいると、一人の男性が注文した。
「お酒ください」。
なんと昼酒ではないか。
「お酒ください」。つられて頼み、一品料理も頼む。
「昨日なんか、朝10時にいらしたお客さんが、今日はもう旦那が出かけたからって、お酒を注文されてね」と、ご主人も嬉しそうである。
焼きなすの胡麻和え、赤ウィンナー、卵焼きといったとこで、チャーシューエッグを頼んだ。すると
「単品にしますか?」と聞く。
もうこれ以上酒飲んだら、沼だなあと思い、「定食でお願いします」と、踏みとどまった。
煮豚と目玉焼きの、ほのぼのとした出会いがよく、終盤は煮汁をご飯にかけ、黄身の部分をご飯に乗せて、混ぜ、混ぜ掻き込んだ。
五日間だけでよかった。
こりゃあクセになる。