春だ。
アバッキオだ。
こいつは、ナイフとフォークで食べてはいけない。
骨持ち、齧りつけば、柔らかな甘みで口が満たされる。
幼い、しとやかな肉体に歯が抱かれて、心地よい。
ごくんと飲み込めば、乳の甘い香りが漂いだす。
その、切ない余韻にうっとりとしながら、肉汁に濡れた唇を舐める。
骨についた筋は、歯でしがみとる。
ぐっと噛みこめば、まだ弱いながらも歯を押し返し、命のたくましさを伝えくる。
そのアンビバレントな感覚が、胸を熱くする。
さあもう一本。
今度はレモンをたっぷり絞って、食べてやれ。
バターでスエするように、乳飲み仔羊の繊細を損なわないように焼き上げた、」「ブリアンツァ」春の傑作。
モモ肉の煮込みも食べたいな。