旬の歳時記  天丼

食べ歩き ,

天丼というのはすべからく、収まりがよくあってほしい。

天ぷらが丼からはみ出したり、絢爛豪華に積み上げるのは、いけません。

一気呵成に掻き込むという丼精神に背くし、それに粋じゃありません。

理想とする一つは銀座「天亭」で、春風のような天丼である。

食べ始めから終わりまで、そよそよと暖かく心地よく、幸福の笑みを呼ぶ。素材の質と揚げ具合もあるが、最後まで冷めないよう特注された木製丼が、春風を呼んでいるのだ。